バトレボオフ使用構築から振り返るDPシングル環境

  

ポケモン 技1 技2 技3 技4 持ち物
ゲンガー 催眠術 シャドーボール 気合球 大爆発 気合の襷
ミロカロス 催眠術 波乗り 冷凍ビーム 自己再生 ラムの実
サンダー 10万ボルト 毒々 羽休め 寝言 オボンの実
ライコウ 守る 身代わり 毒々 10万ボルト 食べ残し
メタグロス コメットパンチ 地震 バレットパンチ 大爆発 オッカの実
ガブリアス 逆鱗 地震 炎の牙 剣の舞 ヤチェの実

昨年12/26に現役バトレボ勢である、すのーさん主催の第二回関東バトレボ・GS合同オフに参加。
3世代シングルや4世代GS、5世代シングル等過去作の様々なルールで対戦させて頂いたが、今回はその中でも特に4世代シングル環境について改めて触れていこうと思う。
というのもオフに参加してみて06〜08年のダイヤモンド・パールのオフ環境でリアルタイムで対戦していた自分と現役のバトレボ勢との間では、考え方にいくつかのギャップが生じており、実際私が使用した構築や当時の話で現役バトレボ勢に驚かれることが節々で見られた。
そこで、今後のバトレボ環境発展に期待し、4世代黎明期の環境を知ってもらおうと思い筆を執ることにした。

一つ注意して欲しいのは、当時の環境と言っても関東のオフ環境であった流れを紹介するだけだということ。
他地域のオフや、バトレボのランダム対戦・フレンド対戦にはもっと別の流れがあったかもしれないのでここに書いてある事が全てだと断言するつもりはない。


当日使用した構築は冒頭の通り。この構築は、DP環境後期で使用されていた所謂「桂馬パ」に近いものとなる。
勿論、今回の対戦会のレギュレーションであるバトレボ環境に沿って構築されたものではないが、あえて当時の構築で臨んでみることにした。




構築の中身に触れる前に、DPオフ環境と現行バトレボ環境の差異から確認する必要がある。

  実はDP実機にフラットルール自体は実装されていたが、それはWi-Fi対戦に限ることで、リアルで対面して対戦するワイヤレス対戦では未実装だった。
  ヒードランの当時の最低捕獲レベルは70、メタグロスの思念の頭突きはOL技な上に当時は教え技も存在しない。

  • Pt以降登場の教え技やレベル技の有無

  サンダーが熱風、ハッサムバレットパンチを使えないなど。

  • HGSS発売による準伝説系統の入手難易度

  HGSS未発売のDP環境においてサンダーはFRLGで、ライコウスイクンポケモンコロシアムで厳選して入手する必要があった。
  乱数調整は勿論シンクロによる性格固定もないため、めざめるパワーを含めた厳選難易度の高さもあり当時対戦で見かける個体数は少なかった。

  当時はまだむげんのチケットによる方法でしか高個体を得られにくいが故の配慮だろうか。
  チケットがなくてもエメラルドの徘徊厳選なら高個体を狙えるが、一回の試行時間が長く非現実的であった。
  エメループが発見されるのはエメラルド発売から4年後のPt環境の話。


つまるところバトレボ勢の視点で考えると、DPのオフ環境はバンギラスラティオスといった一部のポケモンと、教え技を始めとする一部の技が使えない状態でバトレボ対戦を行っているようなものである。
それを踏まえたキャラランクはおおよそ以下の通りになると考えられる。横の並び順に特に意味は無い。


SS 環境の支配者

S 環境の元凶

S- 攻守に渡り活躍できるので構築に組み込みやすく、試合展開を左右する大技を持つ
  

A 少々運用が難しい反面、有利対面を作った時のリターンは大きい
  

B 補完性能に優れ、上位のポケモンに強く出られる
    


C 何か一芸に秀でている
カビゴン スターミー サンダース マンムー カイリキー エンペルト スイクン ラグラージ ドサイドン アグノム トゲキッス フシギバナ ロズレイド マニューラ ラグラージ ソーナンス クロバット


D 特定のポケモンと組み合わせることで活躍の場が生まれる
グライオン ルンパッパ カバルドン トドゼルガ


圏外 ハッサム 


参考:バトレボ環境のキャラランク

すのーさん・ぷらするさん作成のキャラランクと比較すると、DPはゲンガー中心のゲーム、バトレボバンギラスガブリアスが中心のゲームとなっており、それを取り巻くポケモンの顔ぶれも大きく異なっている。


以下構築と当時の使われ方について。

  • ゲンガー

技1 技2 技3 技4 持ち物 性格 努力値
催眠術 シャドーボール 気合球 大爆発 気合の襷 無邪気 AS

DP環境では採用しない理由がない程強力なポケモン
バトレボでは黒いヘドロや命の珠が主流だが、DP実機はバンギラスが存在しないので気合の襷が主流。
気合の襷により催眠術をほぼ確実に2回以上試行することができ、1体眠らせて気が済むまで殴ったら道連れや大爆発でもう1体持っていくのが定番。
受動的な道連れよりも、能動的な動きができる大爆発の方が人気だった。
Aに全振りした大爆発は図太いB振りのハピナスをほぼ瀕死まで追い込むほどの火力があるので等倍で入るポケモンは大抵一撃で倒せる。
催眠術と大爆発の攻撃性能により、何かしらの対策をしていなければゲンガー1体に滅茶苦茶に引っ掻き回されてしまうのは言うまでもない。
また気合の襷を持たせることで、ガブリアスゴウカザル等の受けにくいポケモンを無理矢理抑えるストッパーの役割も持たせることもできる。

技1 技2 技3 技4 持ち物 性格 努力値
催眠術 波乗り 冷凍ビーム 自己再生 ラムの実 図太い HBS

催眠術が使えて上位のボーマンダメタグロスガブリアスらに比較的有利を取れる純水枠として初期から終期まで常に高い人気があった。
相手を寝かせた後、受けたダメージを自己再生で回復してすぐに立て直せる点も心強い。
初期はドラゴンタイプの攻撃に耐えうるためにオボンの実を持たせるケースが多かったが、中期以降はラムの実を持たせてゲンガーを始めとした催眠術使いへの対策として起用されることが多くなった。
耐久を落としてSを118以上に底上げすれば爆裂パンチカイリキーも確実に対処可能。
このようにラムの実を持たせることで対面で勝てるポケモンが格段に増加するので先発に起用しやすくなる。

 
オリジナルはサンダーの枠がヘラクロスだが、個体がいなかったためサンダーで代用した。
ヘラクロス

技1 技2 技3 技4 持ち物 特性 性格 努力値
メガホーン インファイト ストーンエッジ 寝言 拘り鉢巻 根性 意地っ張り HADS

主にカビゴンハピナスドータクン等の強固なポケモンと、ミロカロスドータクンフシギバナといった催眠使いに対しリスクを追わせる為の採用。
努力値はC無振りミロカロスの波乗り3発耐えとしてミロカロスに繰り出せる回数を増やしている。
拘り鉢巻+根性発動の一致120技で大抵のミロカロスを落とせ、同条件でボーマンダも威嚇が入ろうがストーンエッジ一撃で落とす程の火力となる。
ただ当時の拘り+寝言は場に出してから一度しか使えないので、ミロカロスの前でストーンエッジを引いたりメガホーンを外してしまうと一度下げて再び場に出さなければならないので使い勝手はあまり良くない。

■サンダー

技1 技2 技3 技4 持ち物 性格 努力値
10万ボルト 毒々 羽休め 寝言 オボンの実 穏やか HDS

サンダーとヘラクロスが全く別のポケモンなのは明らかだが、催眠に対するカードがミロカロスだけでは甘いので今回は寝言持ちのサンダーに頼ることにした。
当時は厳選難易度が高いこともあり個体数こそ少なかったが、メタグロスヘラクロスにそこそこ強いだけでなく、特防を強化した上で寝言を持たせればゲンガー・メガヤンマドータクンミロカロスの催眠術に繰り出せるので一部のプレイヤーは好んで使っていた。
当時はまだ熱風を覚えず、めざめるパワー氷個体の入手も簡単にはいかなかったので毒々としている。

技1 技2 技3 技4 持ち物 性格 努力値
守る 身代わり 毒々 10万ボルト 食べ残し 臆病 HDS

今ではすっかり定番となった「ノイコウ」だが、そのルーツはDPオフ環境にある。
環境中期以降、ハピナス+グライオン+ルンパッパという現在で言うところの受けループ的な構築が猛威を奮っていたが、その組み合わせを崩すべく考案されたのが始まりだった。
当時ライコウは瞑想とめざめるパワー氷を持たせることができれば、上位のポケモンと渡り合えるだけでなく、ハピナスが絡んだ受け主体の構築を突破できると注目はされていたはいたものの、厳選環境が過酷で、めざめるパワー氷個体でなければまともな運用はできないと思われていたため当時のプレイヤー達は構築を組む上でライコウを軽視しがちにしていた。
しかしノイコウは、めざめるパワー氷が必要ない上に、前述のハピナス+グライオン+ルンパッパという突破が難しかった組み合わせを毒々+プレッシャー+守る+身代わり+食べ残しによってたった1体で崩壊させ、環境を引っ掻き回したことから一躍ライコウのスタンダードな型となった。
今となっては当たり前のような戦術に見えるし、そもそもノイコウ出現前でも毒々+プレッシャー+守る+身代わり+食べ残しという戦術があるにはあったが、サンダーやファイヤーではガブリアスに、プテラフリーザーではメタグロスに大きく隙を見せることもあり当時としては一線級とは言い難い戦術であった。
当時のライコウはというとメタグロスに打点を確保している点、ガブリアスに対しても元の素早さで優っている上めざめるパワー氷個体もわずかながらいたため安易な行動を許さない点、拘り系の持ち物が多いヘラクロスに対して守るで牽制できた点、対処が難しいゴウカザルとゲンガーに殴り勝てる点等、毒々+プレッシャー+守る+身代わり+食べ残しと自身のタイプ・種族値をフルに活かせる条件が整っていた。
また、ライコウの個体数自体が少ないこと、過去にこの戦術が一線に立ったことがないことから当時のプレイヤーは冷静さを欠きどのように対処すればいいのかわからなくなっていたこともあって環境に大波乱を招いた。
バンギラスが存在しないことでノイコウのギミックが成立しやすいのもDP環境ならではの特徴となっている。

技1 技2 技3 技4 持ち物 性格 努力値
コメットパンチ 地震 バレットパンチ 大爆発 オッカの実 意地っ張り HAD

逆鱗と流星群へ耐性をつけるための鋼枠。現在はドータクンの方がよく見かけるようだが、当時は殆どの構築にメタグロスが採用され毎回KPトップ常連だった。
バトレボ環境と違い思念の頭突きとトリックが使えないので上記の4つの技に落ち着くことが多い。
ただ持ち物に関しては、催眠対策としてのラムの実、ゴウカザルや強化アイテム持ちボーマンダに突っ張れるオッカの実、ガブリアスに対し確実に1:1以上の交換を狙うシュカの実、ノーリスクで攻撃面を大幅に強化する鋼鉄プレート、散々暴れて傷ついた後もう1体大爆発で持っていくことを狙ったイバンの実等多岐に渡った。

技1 技2 技3 技4 持ち物 性格 努力値
逆鱗 地震 炎の牙 剣の舞 ヤチェの実 陽気 AS

攻撃130・素早さ102を筆頭に耐久面も水準以上を確保した無駄のない種族値、地面・ドラゴンという攻撃面において極めて優秀なタイプで剣の舞を使える点は第3世代以前出身のプレイヤーに衝撃を与えた。
そのわかりやすすぎる強さからか初期は様々なポケモンにめざめるパワー氷を仕込まれたり、桂馬ンダが開拓された影響もあって評価も使用率もやや控えめな印象があった。
終期ではスカーフガブリアスが評価を受けたこともあって再び数を増やしKP上位常連へ返り咲いた。
この構築はライコウ以外にも受けを突破する手段が欲しかったことと、ライコウをはじめとして相手のサンダースに非常に弱くなってしまうので剣の舞+ヤチェの実での起用となっている。
今となっては強力な特性砂隠れも当時は死に特性と言われていた。


ここからは構築に採用されていないポケモンについて触れる。

技1 技2 技3 技4 持ち物
流星群 大文字 竜の波動 めざめるパワー飛行 拘りスカーフ
技1 技2 技3 技4 持ち物
流星群 大文字 竜の波動 瓦割り 命の珠

タイプ一致技に恵まれなかった第3世代から一転、強力なドラゴンタイプの攻撃技を得て攻撃性能が更に高まった。
龍の舞型や拘り眼鏡型等様々な型が混在した中、威嚇込みでガブリアスの逆鱗を耐えるように調整した拘りスカーフ持ちのボーマンダ、所謂桂馬ンダが流行した。
桂馬ンダが流行するとミロカロスハピナスのような特殊受けや、鋼タイプで受けて対処するプレイヤーが増えたが、それを逆手に取った命の珠持ちが出現する。
初期のミロカロスボーマンダの拘り眼鏡流星群1.5発を耐えるようにするためオボンの実を持った個体が多かったが、受けてきたミロカロスを竜の波動→流星群という流れでオボンの実を発動せず処理する絶妙な性能が注目された。
なお、ボーマンダが逆鱗を手に入れるのはPt以降となる。

技1 技2 技3 技4 持ち物
催眠術 地震 めざめるパワー氷 大爆発 オボンの実
技1 技2 技3 技4 持ち物
神通力 瞑想 鉄壁 眠る カゴの実

S-くらいにおいてもいいとも思ったが、当時メタグロスに人気を取られていたことを考慮しBにおいた。
バトレボに比べると数が少なかったのはガブリアスの少なさ、ヘラクロスミロカロスの多さと比例しているためだろうか。
基本的にバトレボと構成や使い方は変わらないが、突然鉄壁瞑想型が現れて詰まされることもあった。

技1 技2 技3 技4 持ち物
滝登り ストーンエッジ 龍の舞 身代わり 食べ残し

バトレボにおいてはバンギラスガブリアス・サンダーらを打ち抜く為に命の珠が主流と聞いているが、DPではミロカロスグライオンドータクンを起点に身代わりを残して勝ち筋を生む使い方が多く見られた。

技1 技2 技3 技4 持ち物 特性
冷凍ビーム タマゴ産み 寝言 オボンの実 天の恵み

寝言を持たせることで催眠術ゲンガー・メガヤンマミロカロスを完封するため初期〜中期に人気を博した。
当時一度に眠り状態にしていいのは1体までだったので、確実にハピナスに眠り役という役割をこなしてもらうためには特性は自然回復ではなく、交代しても眠り状態が継続する天の恵みを選択する。
ドラゴンに対しての冷凍ビーム、ハピナスに出てきやすいメタグロスヘラクロスに6割まひのリスクを与え、まひと合わせてミロカロスの突破を図れる雷という2つの技によって上位のポケモンに対し極力隙を見せにくくなる。終期でユキノオーが流行った際は火炎放射の採用もあった。
持ち物は食べ残しや前述の命の珠ボーマンダの瓦割りに対応できるオボンの実等回復系が定番だが、ゲンガーの大爆発に対応するホズの実も稀に見られた。

技1 技2 技3 技4 持ち物
吹雪 地震 絶対零度 寝言 オボンの実

ユキノオーは弱点が多く、特にメタグロスヘラクロスゴウカザル等の決定力を呼んでしまう点が致命的で欠点が目立つポケモンだった。
しかしノイコウ出現後のDP環境終期においては、

    • ノイコウの食べ残しを無効化し、ギミックを封殺する。
    • 寝言を持たせることで催眠術ミロカロスに強い。
    • 霰ダメージで気合の襷を潰せるのでゲンガーの性能を低下させ、選出を抑制させる。
    • ハピナス+グライオン+ルンパッパに1体で強い。

といったように活躍できる条件が整っていた。
ユキトドが流行したのは、催眠術が弱体化したPt環境になってからの話である。

バトレボでは一線級の3体だが当時の使用率は低かった。

ハッサムクロバットは仕方ないにしても、ソーナンスは似たような環境下の現バトレボ環境において一線級を保っているので、当時単に研究不足だっただけだと思われる。


最後に環境の変遷を時系列で振り返ってみたい。


初期(07年〜)
     

ポケモン 技1 技2 技3 技4 持ち物
カビゴン 恩返し 炎のパンチ 鈍い 眠る カゴの実
ボーマンダ 流星群 大文字 龍の波動 めざめるパワー飛行 拘りスカーフ
メタグロス コメットパンチ 地震 バレットパンチ 大爆発 ラムの実
ミロカロス 催眠術 波乗り 冷凍ビーム 自己再生 オボンの実
ヘラクロス メガホーン インファイト ストーンエッジ 寝言 拘り鉢巻
ガブリアス 逆鱗 地震 炎の牙 剣の舞 命の珠

俗に桂馬パと言われるものの中で環境初期のもの。
第3世代で定番のカビゴン+ボーマンダ+メタグロス+水という組み合わせを引き継ぎつつ、催眠対策のヘラクロス、電気の一貫を消し受けに対する決定力として新要素のガブリアスを投入した王道のスタンダード構築。
スカーフボーマンダによる安定したガブリアスの処理方法やヘラクロスで催眠術ミロカロスにリスクを与える手法が広まり環境に大きな影響を与えた。


中期(08年冬〜08年春頃)
     

ポケモン 技1 技2 技3 技4 持ち物 備考
ハピナス 冷凍ビーム タマゴ産み 寝言 オボンの実 天の恵み
グライオン 地震 氷の牙 ハサミギロチン 羽休め ヤチェの実 怪力バサミ
ルンパッパ 草結び 宿木の種 身代わり 光合成 食べ残し
ゲンガー 催眠術 シャドーボール 気合球 大爆発 気合の襷
ヘラクロス メガホーン インファイト ストーンエッジ 寝言 拘り鉢巻 根性
メタグロス コメットパンチ 地震 バレットパンチ 毒々 オッカの実

私自身が当時愛用していたハピナス+グライオンの組み合わせ。メタグロスギャラドスマンムーといった痒いところに対してはルンパッパがうまくカバーしてくれている。
第5世代の受けループと比べると進化の輝石がなく、状態異常に弱い点は心許ないが、当時はトリックの教え技が無く拘りトリックで崩される心配が少ない、ハピナスを起点に積み技を使える特殊ポケモンが少ない等、環境にマッチしていた。
この構築はただ受け回すのではなく、天の恵みハピナスの冷凍ビーム・雷による状態異常、ハサミギロチンの回数試行、宿木の種による定数ダメージの積み重ねによって相手を切り崩す手段を持つ。
ガブリアスゴウカザルといった素早い上に突破力のあるポケモンに対しては気合の襷ゲンガーやオッカの実メタグロスで抑える形となる。
ハピグライオンは初期桂馬パのスカーフボーマンダ+鉢巻ヘラクロス+ミロカロスのような組み合わせに非常に強く、台頭したことによって鈍いカビゴンやスカーフボーマンダは徐々に数を減らし環境が転換するきっかけとなった。
ちなみに、この頃にmixiコミュニティ内にてシングル厨のつどいオフが発足され、シングルで対戦する機会が増えたことにより環境変化が加速していった。


後期(08年春〜08年夏頃)
  

ポケモン 技1 技2 技3 技4 持ち物
ゲンガー 催眠術 シャドーボール 気合球 大爆発 気合の襷
ミロカロス 催眠術 波乗り 冷凍ビーム 自己再生 ラムの実
ヘラクロス メガホーン インファイト ストーンエッジ 寝言 拘り鉢巻
ライコウ 守る 身代わり 毒々 10万ボルト 食べ残し
メタグロス コメットパンチ 地震 バレットパンチ 大爆発 鋼鉄プレート
ガブリアス 逆鱗 地震 炎の牙 剣の舞 ヤチェの実

環境後期の桂馬パ。ボーマンダがゲンガーに、カビゴンライコウに変更され環境に適合した。
ハピグライオンに待ったをかけるノイコウの登場に各々のトレーナーはその対応に追われることとなる。


終期(〜Pt発売迄)
     

ポケモン 技1 技2 技3 技4 持ち物
アグノム 大爆発 サイコキネシス 大文字 リフレクター 命の珠
メタグロス コメットパンチ 地震 バレットパンチ 大爆発 シュカの実
ゲンガー 大爆発 催眠術 シャドーボール 気合球 気合の襷
ガブリアス 逆鱗 地震 ドラゴンクロー 大文字 拘りスカーフ
ユキノオー 吹雪 地震 絶対零度 寝言 オボンの実
ミロカロス 催眠術 波乗り 冷凍ビーム 自己再生 ラムの実

ノイコウ出現後、わかりやすい対策としてスカーフガブリアスユキノオーが流行。それを織り交ぜたのがこのゲンガブリグロスと呼ばれた構築である。
大爆発で1体ないしは1.5体持っていき、最後にスカーフガブリアスで一掃する。
スカーフガブリアスは対面での殴り合いに強くするためにサンダースのめざめるパワー氷耐え、鉢巻ヘラクロスの一致120技≒鋼鉄プレートメタグロスのコメットパンチ+バレットパンチ耐えといった調整を施している。
サイクル戦を前提とした構築が溢れていた中で、極力交代コマンドを使わず自分のやりたいことを押し付ける構築は当時としては目新しいものだった。


ノイコウが出現し、更に今までノーマークとされてきたユキノオーが環境に出現するなど混沌とした事態が収束しないままDP環境は幕を閉じることになり舞台はPt環境へと移っていく。
Pt環境は教え技やフォルムチェンジロトムの登場の他、催眠技弱体化によって催眠対策に注いでいた分のエネルギーが開放され、全く別の環境が作られることになる。


オフに参加してバトレボで対戦した率直な感想として、今のバトレボ環境にほぼ存在しないDP環境の遺物とされてきたミロカロスというポケモンの強さを証明できたことが嬉しかったということ。
当時自分たちが強いと信じてやまなかったミロカロスというポケモンが、HGSS発売以降のバトレボ環境にほとんど存在していなかったことに対して私は長年疑問を感じていた。
あまりにも見かけないのでミロカロスバトレボ環境に適さない大きな理由があるものだと思っていたが、オフに行く前にある程度ブログ等を拝見させてもらい現行バトレボ環境を予習した上でもこの環境でミロカロスが使われない理由がわからなかった。
そして実際オフで現在のバトレボ環境を前提に組み上げられた構築と対戦してもミロカロスは色褪せない強さを発揮して勝利に貢献し、バトレボ勢にミロカロスの強さを認めてもらうことができた。
バトレボ勢がDP環境において寝言サンダーが使われているという事情を(おそらく)知らない中で、数年後のバトレボ環境において寝言サンダーが使われていると聞いた時も、今回のミロカロスの件もそうだが、第4世代黎明期に自分たちが考え築き上げてきたものが間違いでなかった事が証明されたような気がして感慨深いものがあった。
バトレボ環境でミロカロスが流行ればヘラクロスも見直されるかもしれないし、それによってグライオンが再び日の目を見る時が来てもおかしくないとすら思った。


ORAS以降、ORASの対戦環境への不満や時間が取りにくくなってきた等の理由からポケモンから少し離れていた私だが、一日中3〜5世代の過去作を対戦して一喜一憂していたあたりポケモン自体はまだやっぱり好きなんだなと再認識させられた。
6世代をこのくらい楽しんでプレイすることは難しいかもしれないが、去年は少しやらなすぎたのでちょっとずつ触れていくことを今年の目標にしたい。


このような機会を設けて頂いた、すのーさん・ぷらするさんを始め運営陣の皆さんには大変感謝しています。
参加者の皆さんもお疲れ様でした。また必ず参加したいと思います。

  • 参考文献

ポケモン対戦攻略同人誌『ポケストラ02』
P.115〜127「ダイヤモンド・パール」シングル対戦史 文:gull氏
(2012年 コミックマーケット82にて頒布)